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玩具の黄変まとめ

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最近ブログの更新がスローペースになってしまい申し訳ございません😅
今回の記事は玩具紹介ではなく「黄変」についてまとめた記事になります。
前々から申し上げておりますが、当ブログで扱う「黄変」は全て“玩具に使用されているABS樹脂”でのお話です。
家電やゲーム機、アクリル、紫外線硬化樹脂(UVレジン)やエポキシ樹脂、PVC(フィギュア)本などの紙製品には適用されませんので
くれぐれもご注意ください。
筆者は関東平野住みです。温度、湿度など別環境だと結果は違ってくる可能性があります。
いかなるケースも必ず自己責任でお願いします。
この記事の内容は全てが10年程度の観測を元に書いたものですので
確証も10年程度という認識でお願い致します。

 数年前、いつか誰かの役に立てたら良いかな程度の熱量で行った黄変劣化を元に戻すための実験記事が
当ブログ屈指の人気コンテンツとなりました。
私が予想するより、黄変に関して関心が高い方が多くいらっしゃるのかと思います。
しかしながら実験記事は複数あり読みづらい不親切設計となっておりますので
当記事に黄変について現段階で分かった事を全てまとめました。
読むのが面倒な方用に端的に申しますと
おもちゃが黄ばみたくなかったら発売後早めに購入し直ちに暗所に保管すべしです。

黄変の種類と共に、なぜ↑なのか、解説して参ります。

 

■1 暗所黄変
短期間※1明るい空間※2に置いた後、暗所に保管する→しばらく経って※3取り出すと黄ばんでいる現象。
※1  短期間とは売り場に並んでいた時間を含める。1、2ヵ月程度~
※2  文字が読める程度の明るい空間。
直射日光に当たっていなくても該当する
※3  期間はモノによって個体差あり。 半年経たず黄変する個体もあれば5年くらいかけて少しずつ黄変する個体もある。

beforeのムーンスティックと背景のピンクは同じ色です。
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酸化防止剤に日光が当たり化学変化が起こり黄色く変色する現象で、日光に晒せばある程度元の色に戻ります。
即ち変色の原因が日光で、元の色に戻す為に必要なものも日光。

暗所に保管する前は黄変していない事が多く「暗所」が原因で黄変したと思われがちですが違います
暗所以外に出しっぱなし
が黄変のトリガーになります。
「日光に当ててないのに暗所に入れたら黄ばんだ!」というケースの殆どは、日光の解釈違いによるもので
日光とは「直射日光」ではありません。
日光=直射日光ではなく文字が読める程度の明るい空間です。
短期間でも明るい空間に出していたものは日光に当たったという事になります。
なので明るい空間に紫外線対策をせず光曝露された玩具は「日光による変色が起こるトリガー」が既に引かれていたという事です。


私が観測した限り劣化の原因は日光(紫外線)で、日光さえ遮断すれば変色しないという事が結論です。
なぜこの結論に至ったのか説明致しますと…

こちらは発売後かなり時間が経過した玩具で、明るい空間に晒されていた期間がありました。

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↑このような玩具本体が露わな窓付箱に入った玩具の場合、暗所黄変は光に晒された部分のみ起こり
発砲スチロールに覆われたハートの根本2か所の樹脂は黄ばみません。
私はコレクション品を基本的に箱に入れっぱなしで暗所保管しておりますが
その中でこのような「過去に光に晒された箇所だけ黄変する」現象が何個か起こりました。
さらに

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このような窓の無い日光遮断仕様の箱に入った玩具(新品購入)を
長期間暗所保管しておりますが今現在黄ばんだ玩具は一つもありません
・窓付箱のスチロールに覆われた箇所は黄変しない。
・新品購入し、暗所保管し続けた窓無箱の玩具は全く黄変しない。
つまり、日光の届く明るい空間に晒されていないABS樹脂は黄変しない
原因が日光ではなく、「暗所(光が当たらない事)」や「酸化防止剤が空気に触れて変質した」場合
この窓無箱入り玩具はとうの昔に黄ばんでいると思います。
以上から暗所黄変の原因は日光という結論に至りました。
従って黄ばみを防ぎたい場合
購入後すぐに暗所に保管するorUVカット機能付きのディスプレイケース内へ入れる事をオススメします。
UVカットケースには寿命があるので確実に紫外線を遮断したい場合は暗所保管)

 

このような↓窓付箱の場合
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黄変を防ぎたいのであれば発売後、なるべく早めに購入するに限ります。
売り場や商品倉庫の照明がLEDではなく蛍光灯だった場合黄変リスクが高まります。
(蛍光灯によるヤケは後述致します。)

中古流通品は前の持ち主、さらにその前の持ち主が暗所に保管していなかった可能性があるので
黄変するかしないかほぼギャンブルです。
購入時変色の無い美品を購入したとしても暗所に保管したら黄変する可能性が有ります。
まだ黄変していないけど暗所黄変するトリガーはすでに引かれた状態かもしれません。
セーラームーンを始めとする90年代に発売した玩具の多くはこのような窓付箱仕様なので
黄ばむ可能性が無い個体を入手する事は、新品未開封品を購入したとしてもかなり困難です。
このブログで当時の玩具を復刻して欲しいと常に嘆いているのは
変色する可能性の無いものを確実に入手するにはもう復刻しか無いからです。

 

 

一度『暗所黄変』が起こってしまった玩具はもう元の色に戻る事はありません(キッパリ)
過去に黄変した玩具を元に戻すため下記の実験を行いました。

sc-toy.hatenablog.com

sc-toy.hatenablog.com

両実験の記事にも書いた事ですが

・完全に元の色に戻らない
・元の色が抜ける(薄くなる)
・材質自体が劣化する
・実験後に黄ばみが多少復活する

…という事でこちらの実験の真似事はあんまりオススメ致しません…、、
「リスクがあるのに完全に元に戻らない」ってやる意味ある?とも思います😓
どうしても、どーーーしても黄ばみが嫌!リスク承知で少しでも黄ばみを抜きたい!元の色が抜けても材質劣化も気にしない!
という方以外はやらない方が絶対良いです。
重ねて申し上げますが、やる場合は自己責任で。
ワイドハイターの方はメッキも剥がれるのでメッキ塗装されているパーツは実験不可能です。

 

 

■2 日焼け
長期間明るい空間に置きっぱなし→しばらくすると黄ばんだり退色したりしている、という現象。
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特徴は「退色」で、とくに金メッキやピンクメッキなどの
色付きメッキに顕著に退色が見られ銀メッキに近い色に変色します。
箱の色味も退色して薄くなります。
黄ばみ方も暗所黄変より強く、黄色を超えてオレンジみたいな色になる事もあります。


暗所黄変の説明にて日光に当ててから暗所に保管すると黄変するのなら
ずっと明るい空間に出しっぱなしにしておけば良いのでは?と考える方も居るかもしれませんが
出しっぱなしにしていても、どの道変色します
こちらの「日焼け」の場合、変色だけではなく材質の劣化も促進されますので注意が必要です。
それと、日光だけではなく蛍光灯にも注意すべきです。
蛍光灯にはLEDの200倍もの紫外線量が含まれているので日焼けしますし暗所黄変のトリガーも引かれます。
オタク系ショップの照明付きガラスショーケースの中で
「照明で焼けてしまったのでお値下げします」なんて事例を何回か目撃した事があります。
玩具を部屋に飾りっぱなしにしているけど、日中出かける前に完全遮光カーテンを閉めて
夜に帰宅して楽しんでいる方は部屋の照明をLEDにする事をオススメ致します。


日に焼けてしまった玩具はワイドハイターに漬ける実験はしない方が良いです。
日焼けした時点でかなり材質が劣化しているのに、ハイターに漬ける事により更に劣化が促進されてしまいます。
細かいパーツは割れる可能性もあるので日焼けした玩具は実験不可能です。
レトロ品としてそのまま愛でましょう。

 

■3 段ボールの材質や使われている接着剤の成分での黄ばみ

過去、紫外線を含む明るい空間に晒された事の無い玩具…
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つまり↑のような窓無箱のおもちゃを新品購入後、すぐに段ボールに入れて保管したとしても
段ボール自体の材質(リグニン)段ボール用の接着剤の成分が揮発し玩具本体の酸化防止剤と結びついて黄変してしまう…という説。 
要するに、黄変のトリガーが日光ではないという事です。

…ええと、すみません、この現象は未だ私の玩具と環境では観測できておりません
前回の記事では5年様子を見たけど黄変しておりません、と書きましたが
それから4年後の今、9年目に差し掛かりますが未だにこの「日光起因以外の黄変」が確認できません。
ジワジワと劣化が起こるという事なので、まだ時間が足りないのかABS樹脂だと変化が起こりにくいのか…
よくわかりませんが、とにかくこの様な説があるので絶対に劣化させたくない!という方は
念のため段ボールでの保管はやめておいた方が良いかもしれないです。
ではプラ製のケースに入れて保管しようと思った方、こちらも注意が必要です。
プラ製コンテナや衣装ケースの場合大体が半透明で日光を通してしまい、保管中に劣化が促進されてしまいます。
ケースを選ぶ場合日光を通さない暗い色のものを選ぶ必要があります。


■4 湿度による黄変

 湿気で黄変するという説もお見掛けしたのですが、こちらもまだ未観測です。
私は冬場になると加湿器フル稼働させていて、机に置きっぱなしの紙がブヨブヨになるほど湿度上げています。
7、8年前、加湿器フル稼働状態時に玩具収納を覗いたところ、入口に近い所に置いてあった
キュアフルーレやフラワータクトの箱がふにゃふにゃになってしまい😂触ったら破けそうだったのでそのまま放置して
半年後位に取り出してみたら乾燥して元に戻ってました😂良かった…😂
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…という事で、私の玩具は毎年かなり高湿度状態にあったと言えます。
その玩具を去年取り出したところ

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全く黄変しておりませんでした。
「湿度」のみで黄変するのであれば、もうとうの昔にコレクション品の大半が黄ばんていると思うのですが…
未だに「湿度のみの黄変」は観測されておりません。
このような説があるため気になる方は除湿剤を置いてみても良いかもしれません。
でも黄変についての記事を読んだところ「酸性雰囲気」に置くと黄変が消失し※4
アルカリ性雰囲気」に置くと黄変が復活する、という情報も目にしまして。
除湿剤=塩化カルシウムアルカリ性なので…どうなんだろう😓
10年程度なら紫外線に暴露していない玩具は湿度で黄変しないという結果が出ているので
私は今後も除湿剤は置かずに行こうと思います。

 

※4 玩具を酸性雰囲気に置くと黄変が消失するとの事だったので
濃い目のクエン酸水溶液を作って黄変した樹脂に塗り4日放置した結果
ほんの少しだけ、本当に気のせいレベルで黄味が薄くなったように思えました。
今まで行ったどの実験よりも効果も薄いし、液体を玩具に塗ると
故障や錆の元になりますのでクエン酸実験もやらない方が良いと思います。

 


 

以上「玩具の黄変」についてのまとめでした。

要約すると『売り場でヤケる前に新品購入し、段ボール以外の暗所に入れておけば恐らく黄変しない』という結論です。
しつこいようですが、この結論も10年程度しか確証はなく、さらにここから時間が経って20年30年と過ぎたら
どうなるのか全く分かりません😅
あと真空保存している訳ではないので、空気中の何かが原因で劣化するかもしれません😓


こちらも以前に書いた事ですが、黄変した玩具の価値を軽んじる気は毛頭ございません。
10年以上前のレトロ品は劣化している状態が基本です。
少々の変色・劣化も許せないのであれば年代物を収集していく事自体がかなり難しくなってくると思います。
美品を購入したとしても黄変するかしないかはギャンブルになります。
なので黄変していない状態で揃えたい物に関しては、新しく復刻版を発売して欲しいと考えております。
私が黄変についての記事を書き記している理由は
「黄変させたくないのに意図せず黄変してしまった」という状態になってしまう方を一人でも減らしたいと考えているからです。
要するに今現在レトロ系をメインで収集されている方ではなく、数年内に発売した現行品をメインに収集し
それを劣化させずなるべくそのままでの形と色で残したいと思っている方に向けて書いておりますので留意頂ければ幸いです。

※2021/10/16 追記※

長野県工業技術総合センター様のホームページ上に連載している
有機工業材料の不具合・トラブル対策物語」の第8話「変質、劣化」に
プラスチックの劣化や暗所黄変について詳しい方が解説されています。

https://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/zairyo/zai_rensai.html

それによるとプラスチックは光と酸化に弱く
それらを防止する際に添加されている酸化防止剤が赤く変色し黄ばんで見えるそうで
屋外のような強い光ではなく暗い雰囲気でもこの反応が起こり、蛍光灯でも劣化が促進される。
湿度については、湿度単体ではプラスチックに影響しないけど湿度に光と熱が加わると劣化が促進されるという事です。
…という事は本記事の内容が大体合っているという事になります。
なので黄変させたくない場合は中古品を避けとにかく「光」に気を付けましょう。